2020/07/15 13:22
『珈琲屋の人々』 池永陽 著 双葉社 2009.1
テレビドラマ化された作品。「珈琲屋」という喫茶店で幼馴染の行介・島木・冬子を中心とした人間模様を描いた物語。総武線沿いの商店街が舞台であるという設定ではあるが、話の中になじみのある鷺ノ宮の名が登場することも私にとっては身近に感じられた。

この店のコーヒーはサイフォンで淹れる。最近では熱源をハロゲンランプでまかなっているものもあるが、作品中ではアルコールランプによるものが使われている。
サイフォンによるコーヒーの抽出は味が安定する反面、原料によりいかに淹れてもおいしく淹れられないこともある。また湯を水蒸気で押し上げてから抽出するため、苦味のきいた熱々の珈琲になりがちである。
サイフォンのもう一つの魅力は視覚に訴える効果であろう。器具の形状、ランプの光、火を止めた後の珈琲が濾過される様子。暖かい光、落ち着いた光の印象。圧倒的な存在感がある。
物語の中に出てくるコーヒーはブレンドだけだが、ほかの珈琲もあるとの記述はある(それが何であるかは不明)。
そこで私ならこの店にどのような豆を使ったブレンドを作るだろうか。
はじめコロンビアをベースにと考え始めたのだが、本を一読し終えた後では、マスターの行介の実直な性格から中深煎りのグァテマラを使ってみたいと思った。すっきりした飲み口の中に、芯の強さが入っている。折り目正しい味わいと呼んでいる。島木ならマンデリンの明るさとクセをやや浅煎りで表現し、冬子はコロンビアの中庸さを中煎りで表現するだろう。三人あっての店であるのでこの三つを均等にブレンドするということでよいだろうか。
ひつじcoffeeで扱っている該当の豆
グァテマラSHBアゾテア農園
切れ味の感じられる豆。すっきりした印象。
当店では中浅煎りで提供しています。
マンデリン・ビンタンリマ
香り高い濃厚な豆。気分転換には最適。
当店では中深煎りで提供しています。
コロンビアSUPマグダレナ
苦味酸味のバランスの取れた豆。
当店では中深煎りで提供しています。